失敗から学ぶ―失敗共有サイト
「失敗は成功の母」「失敗から学べ」とはよく言われることですが、実際のところ失敗というのはみな隠したがり、なかなか明るみに出ないものです。ビジネスでも開発の分野においても紹介されるのは成功事例ばかりです。そこで、失敗を共有し、Developmentの質を向上させようというサイトがカナダで作られました。今回はその紹介記事と、実際にサイトに投稿されたバングラデシュでの住宅プロジェクトの失敗談をご紹介します。
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「Developmentを向上させる、失敗は一度だけ」
2011年1月14日に、Engineers Without Borders CanadaとPeace Dividend Trust のIan Smillie と Scott Gilmoreが世界の開発機関に挑戦する新たなサイトを立ち上げた。そのサイト admittingfailure.com は人々が開発の分野における仕事上の失敗を投稿するプラットフォームである。このサイトの背後には、過ちや失敗を認識し、そこから学ぶという考えがある。人々が投稿すればするほど、より多くの教訓が学べるようになる。
このサイトの主な目標の一つは、様々な社会的機関に小さな額のお金を提供している一般の人々に、彼らのお金の行方を伝えることである。これらのドナーに、失敗を含め、実際に現場で何が起こっているかを伝えることを目的とする。うまくいけばこのサイトは透明性と説明責任の向上への大きな一歩となるだろう。
“Improving Development, One Failure at a Time”
http://www.nextbillion.net/blog/2011/01/31/learning-from-failure
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「失敗から学ぶことに失敗」
独立戦争直後の1972年、私をバングラデシュに派遣された。私の仕事はCAREの自助住宅協同組合プロジェクトを行うことであった。人々が低価格の耐サイクロン住宅を建てられるよう、計画書と、何千トンものセメントや錫板などの物資、技術協力を提供した。プロジェクトは大規模なものであったが、失敗に終わった。住宅は建てられたが、最も重要であるはずの協同組合が、長期的な農業開発と雇用のための資金を生み出すことを目的としていたため、失敗に終わったのである。私たちには大きな事務所と多くのジープやトラックを持ち、プロジェクトにコミットできる多くの国際スタッフがいた。唯一の問題は私たち自身が何をしているかということをほとんど理解していなかったことである。
私がダッカでタイからセメントを発注している一方で、町の反対側と遠く離れた農村地域ではある小さな組織が結成されていた。人々はその組織BRACに畏敬の念のようなものを抱いていた。ただし、当時BRACが何かすばらしいことをしていたわけではない。人々の関心を引いたのは、BRACが（外部者ではなく）バングラデシュの開発組織だということだった。
何年にもわたって私は何度もバングラデシュに行く機会があり、よくBRACとプロジェクトデザインや評価を共同で行った。私は同じ組織を訪れたことは一度もない。いつも行くたびに何か新しいもの―1万以上の学校や酪農場、大学、機能的な結核治療など―があった。2007年にはマイクロファイナンスの貸付が10億ドルに達した。BRACの業績のすばらしいところは、それらが世界で最も厳しい環境下で達成されたということである。現在BRACはバングラデシュで得たノウハウを他のアジアやアフリカの地域にも適用させている。
CAREの住宅プロジェクトは失敗に終わった。なぜなら我々は急いで事を進め、自信過剰で、文化的・歴史的知識を十分に持たず、厳しい状況に対処するための事前の準備を怠っていたからだ。BRACも同じように―調査、実験、ときには失敗から―学ばなければならなかった。私たちのようにバングラデシュからよそに行った団体とは違い、BRACはバングラデシュにとどまり続けた。BRACは学んだことを忘れず、他の分野にも適用し、その結果、今日世界で最も有効な開発機関の一つとなった。
開発ビジネスはかなり未知の領域である。もし私たちが貧困を終わらせる方法を知っていたら、遥か昔にやっているはずである。そして未だに企業はリスクを避け、ドナーは結果を求め失敗を責める。開発の挑戦は新しい道筋を描く際にリスクを避けることではない。失敗を否定することでもない。学び、それを心に留め、応用させることである。それは私たちが今日豊富に持っている‘情報’と、ほとんど持っていない‘知識’の違いである。
“Failing to Learn from Failure”
http://www.admittingfailure.com/2011/01/ian-smillie-failing-to-learn-from-failure/
BOPイノベーションラボ in Dialogue 